あてもなく彷徨うておったら、仕舞屋風の家の庭に土筆が密生しておるのを見つけた。「ご老女さま御覧なさい。何もしないで通り過ぎてもエエんですかァ」「何お、バカなことを言ってるんです？ 直に全部取りなさい」。「そんなことを言っても何千本も生えとりますよ。二三十本もありゃーエエでしょー。ドーせ土筆をとるのは私でショー」。と、ユーヨーなやり取りがあり、結局は大ジジイが四五十本ほど引き抜いた、とユーことです。
　隣の家のジジイが顔を出し、「何しとるんネ？」とか怒鳴ったりもしたデスが、無視。「ヤマカシー、お前の出る幕邪ネー」。
　とにかく今年の春一番の土筆を食った、ツーことデス蛇。誤解なきよう無駄註を入れとくと、『旨かったのは日本酒、土筆なんか蛇ない』。
　この時期、千葉の田舎は梅や桜、コブシなども満開。“結構毛だらけ猫灰だらけ” 状態デス蛇。